「上からの目標設定・指示」ではなく、教育条件の拡充こそ

大阪府教育振興基本計画(素案)への府民意見募集
 10年間の大阪の教育をしばり、知事が教育目標・内容に介入
府教委は12月26日に大阪府教育振興基本計画(素案)を発表しました。
この「教育振興基本計画(素案)」は今後10年間の大阪の教育を方向づけるものとされており、府教委発表の素案に、1月25日までの府民のパブリックコメントをへて、2月府議会で議決させようとしています。
しかし、この「教育振興基本計画」は知事が教育目標を設定し、学校の教育内容に介入するものであり、学校の教育活動に深刻な影響を与える恐れがあります。

「人材育成のため」の学校・教育に
「計画(素案)」は「基本的な目標」と10項目の「基本方針」からなっています。「基本的な目標」の「目指す目標像」では「変化する社会経済情勢や国際社会の中で、自立して力強く生きる人づくり」といった、本来の学校教育の目的である「人格の完成」よりも「人材の育成」が強く打ち出されたものとなっています。また、「基本方針」の中では、府立高校「再編整備の計画的な推進」として、公立高校学区撤廃とも合わせて、競争を激化させる、府立高校の統廃合を推進しようとしています。また、教職員や教育行政関係者、保護者からも強い反対の声があった「授業アンケート」を「基本方針」に位置づけたり、現場や子どもへのしわ寄せ、矛盾がおおきい「習熟度別指導の推進」がかかげられているなど、子どもたちの成長や発達を保障する上できわめて重大な内容となっています。

 「数値目標」「ノルマ」によるしめつけさえ
橋下市長のもと、同じく12月発表された「大阪市教育振興基本計画(素案)」では、平成25年から27年までの3年間の計画として作成されており、大阪府のものより細かく、具体的な教育方法まで踏み込んで、いくつもの「数値目標」をあげ、学校現場にノルマの達成を求めるものとなっています。
一方、大阪府の今回の「計画(素案)」は10年間の目標であり、これとは別に5年間でとりくむ「事業計画」が作成されることが予定されています。今後、大阪市のように、「事業計画」などによって、学校現場への「数値目標」「ノルマ」の押し付けの恐れがあります。
これでは、学校の実情や子どもたちの実態を無視した教育活動を余儀なくされ、子どもたちの成長をゆがめかねません。

本当に求められるのは、「教育条件拡充計画」
正規教員の採用増、講師の穴あき解消、教育予算増こそ
今、学校現場の教職員たちが深刻な問題に直面し、切実に求めているのは上からの目標設定でも、具体的な教育方法の指図でも、細かい「数値目標」「ノルマ」の設定でもけっしてありません。
何よりも本来の正常な教育活動、子どもたち一人ひとりに目が行き届き、教職員が自発性を十二分に発揮できるゆとりを持てる、30人学級や定数増を始めとした教育条件づくりに他なりません。
大量の講師配置でまわっている現場、病休などの講師確保の困難、生活費・将来の心配をしながら仕事をせざるをえない給与削減など現場教職員の深刻な悩みや課題こそ解決すべきです。
講師問題や教員確保問題での具体的な方針がどこにも示されず、上からの「教育目標」や「数値目標」ばかりが求められれば、学校現場にはしわ寄せばかりが積み重なり、子どもたちの教育にとって大きなマイナスにもなりかねません。
「教育振興基本計画」を本来求められるべき「教育条件整備」を中心としたものに組み替えるよう、枚方教組は広範な父母・市民のみなさんを含め、積極的なパブリックコメントへの意見提出をよびかけるものです。

「大阪府教育振興基本計画(素案)」に対する府民意見の募集について

資料 橋下市長下での大阪市教育振興基本計画(素案)より
(全国学力テストでは)

  • 知識に関する問題で8割以上正答の生徒の割合を全国平均以上。
  • 中学卒業段階で英検3級以上の生徒を30%以上。
  • 無解答の割合全国平均以下。
  • 家で復習をしていると答える生徒の割合を全国平均以上。
  • 「将来の夢や目標を持っている」と答える生徒の割合を全国平均以上。
  • 「学校の決まりを守っている」と答える生徒の割合を全国平均以上。
  • (その他では)

  • 小3~6の国・算、中1~3の国、数、英で習熟度別授業の実施。
  • 11学級以下の小学校の適正化(統廃合)

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