学校現場の自主性を奪い、創意ある教育活動を否定する 「校内人事の決定及び職員会議に係る学校内の規程等の状況について(通知)」は撤回せよ

[談話]

2014年7月15日

全日本教職員組合(全教) 書記長

今谷 賢二

文科省は、6月27日、初等中等教育局長名で各都道府県教育委員会教育長と各指定都市教育委員会教育長宛に標記の通知を発出し、校内人事や職員会議に係る内規等について、1学校教育法などの法令等やこれまでの通知・通達に反する「規程や慣行が学校に存在するかどうか点検・調査する」こと、2存在すれば速やかに「廃止か修正する」よう指導すること、31、2の状況を様式まで添えて報告することなどを求めました。さらには、その「改善状況」の報告まで求めることがあるとしています。

文科省は、この「通知」の根拠として、1「学校教育法等の法令」、2「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(昭和51年1月13日付け文初地第136号文部事務次官通達)」、3「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令の施行について(平成12年1月21日付け文教地第244号事務次官通知)」をあげ、その「趣旨に反する規程や慣行」として、上記の法令や通知・通達に明記されていないことであっても、文科省の解釈に沿って「指導事項」を示しています。

さらに、「報告要領」では、校内人事や職員会議に関する規程や慣行の「有無」をすべての学校について確認し、すべての規程を提出するよう求めるだけでなく、「規程や慣行の有無にかかわらず」学校への戸別訪問や校長からのヒアリングなど、手法まで指示して「校内人事の決定」や「職員会議の運用」について確認することを求めています。

そもそも学校は、憲法や子どもの権利条約にもとづき子どもの学習権を保障するためのものです。学校の組織も施設・設備も教職員の配置もそれらが最優先に考慮され、具体化されることが求められます。

そうした観点から、校内人事においては、日常的に子どもたちと直接接している教職員の声をいかした人事配置が必要です。また、職員会議においても、教職員が子どもたちの実態から出発して必要と考えられる教育活動を展開できるよう、上意下達ではなく、意見を自由に議論・交流し、職場全体として合意形成できることが重要です。そして、これらのことが担保されるよう、学校の中で話し合って人事配置や職員会議のルールを申し合わせることは、必要でありこそすれ、排除することではありません。

学校教育法では、第37条第 4 項で「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」とされています。よって、校長がその権限を発揮することにおいて、具体的にどのように「校務をつかさどり、所属職員を監督する」かは、校長の裁量です。今回の「通知」は、そうした校長の権限を侵すものでもあります。

以上のことから、今回の「通知」は、学校現場の自主性を奪い、創意ある教育活動を否定することにつながるものです。同時に、学校を上意下達の場に変え、子どもと教育を支配し、安倍内閣がめざす「戦争する国」と財界・大企業に奉仕する「世界で一番企業が活動しやすい国」のための「人材育成」をすすめようとするものであると考えざるを得ません。これは、断じて容認できないものです。

全教は、文科省に対し、「通知」を撤回するとともに、学校現場の自主性を尊重する教育行政を確立するようあらためて求めるものです。 以上

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