全教・国連勧告への見解

発達を保障する支援教育の充実と「インクルーシブ教育」の発展を

全教は11月9日、国連障害者権利委員会が、日本政府へ公表した勧告についての見解を発表しました。

報道などで「特別支援教育」そのものの中止とうけとめる傾向もある一方で、実際の勧告文や勧告のための障害者関連団体の取り組み、議論からは、逆に本来のインクルーシブ教育のために必要な支援の取り組みを実現するための予算や計画が求められています。

勧告の文面では、

  • 「特別支援学級の児童生徒が在学時間の半分以上を普通学級で過ごさないようにするとの大臣通達」に「懸 念」を表明
  • 「分離された特別教育の廃止を目指し、質の高いインクルーシブ教育に関する国家行動計画を採択する。」ことと「すべての障害を持つ学生が、すべての教育レベルにおいて合理的な配慮と必要な個別支援を受けられるように、具体的な目標、時間枠、十分な予算を設定すること。」を表明しています

私たち抜きに、私たちのことを決めないで

今回の国連障害者権利委員会の勧告に際する審査では、「建設的対話」として関係者から前向きな回答を引き出す取り組みが行われており、日本政府の報告書と各種障害の13団体が集まる「日本障害フォーラム(JDF:Japan Disability Forum)」障害者団体が100人以上ジュネーブに駆けつけて、政府と「対話」をした上で、別の報告書を提出した上で行われたとされています。

全国的には、「学びの場の選択」において、文科省の手引きに示される「子ども保護者の意向の尊重」の建前の一方で、教育委員会や学校から、通常学級、地域の学校では合理的配慮が受けられないことを強調して、実質的に支援学校やほとんどの在校時間を過ごす支援学級の選択を「強制」ないしは「余儀なくされている」実態が、今回の勧告にむけた障害者の当事者から声が上がってきたことがクローズアップされています。

必要な支援を受けられるインクルーシブ教育のための国の十分な予算、計画こそ

国連の勧告の文面でも示されているように、支援教育そのものが否定されているのではなく、必要な支援を受けながら、ともに学べる環境を政府の責任としてつくっていくことが重要です。そのためにも、支援学級の定員を8名から6名に引き下げたり、通常学級の定員を20名程度とする、スウェーデンのように支援学校を地域の学校の近くに設置していつでも交流できるようにすることこそ、国や文部科学省、教育委員会が取り組むべきことです。

全教 22-11-10【見解:障害児教育部】国連障害者権利委員会「勧告」をうけて

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