本当はすぐれた力のある「給特法」

本来の専門性、裁量性を保障、具体化する仕組みこそ

求めるのは欧米のような教員の働き方

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教員不足、「働き方改革」巡って焦点となっている「給特法」。

自民党など政権与党は、現状のまま一部の手当て上乗せ、「働き方改革」で乗り切る構えです。

一方、見直し求める意見の中には「廃止」を大きく打ち出すものもあります。

無原則の長時間勤務を放置させないための時間外手当支給による歯止めは多くの意見が一致しますが、給特法の本来の趣旨をめぐって、立ち止まって考える必要があります。

滋賀県・近江八幡市教組の経験

  給特法をタテに、突然の冬休み若手研修を中止に追い込む

近江八幡市では2010年に市教委が11月に入って突然冬休みに若手研修実施を通知、そのための事前レポートを12/15に提出まで求めてきました。

急な研修だけでなく、学期末の懇談、成績処理の多忙な時期に勤務時間内にレポート作成の余裕もなく、時間外勤務になることを命ずるに等しいと、市教委と交渉。給特法で研修にかかわる業務は時間外に瞑することはできないと追及すると、市教委もレポートは勤務時間内で書ける簡単なものでよい、研修は強制ではない、当日年休取ることを拒まないと確認。その後市教委から研修そのものを中止すると通知が行われました。

 限定4項目以外は時間外勤務を命ずることはできない、とする本来の趣旨を生かした取り組みでした。

市教委、管理職の責任を逃れるためではなく、本来の「給特法」の趣旨の徹底を

文科省自身も、教員の仕事は専門性、裁量性のある業務であると何度も強調しています。しかし、実際には一般行政職と同じように厳格に勤務時間の義務を負わせ、少しでも外れていれば厳しい処分で取り締まる一方、野放しの時間外勤務、昼休憩時間も保証されず、市教委・管理職にその責任さえ問われることがありません。その責任を逃れるときだけ「旧特報」を都合よく持ち出しているといわれても仕方ありません。

 枚方で4年たてば学校間の人事異動対象とされ、極めて交通が不便な学校に当たり前のように生かされますが、欧米では普通はあり得ません。日本では専門性といいながら突然小学校の教員に少しばかりの研修でやったこともない英語の授業をさせても何の問題も感じていないのと大きな違いです。

 そもそも研究授業など先生の指導案を、市教委の指導主事や外部の指導者の一言で書き直しを余儀なくさせられること自信が世界の常識からは異常といえます。

我々が求めるのは、欧米諸国の教員の働き方

授業・教育活動は教員の自由尊重、長期休業中、授業以外の出勤は自由

  授業や具体的な教育活動にも様々な指示、拘束が平然と課され、外れていれば厳しい指導が行われるため、労働実態無視して、市教委からの業務・課題を遂行せざるを得なくなっています。

 欧米諸国の教員は、授業や具体的教育活動については自由が保障され、教員の専門性が尊重されます。

長期休業中や授業以外の勤務も裁量に任され、授業がなければ学校に来る必要はありません。

 我々が本来求めるのは、このような欧米の教員のような専門性、裁量性を尊重された働き方ではないでしょうか。

  本来の「給特法」の趣旨、教員の専門性、裁量性の尊重、限定4項目以外時間外勤務しなくてよい業務の見直し、削減を徹底し、それを保障するために時間外手当支給の仕組み、教育行政、管理職の責任を監督、是正できる労働基準監督署の権限を及ぼすべきです。

  「給特法廃止」の注意点、 

大阪府非常勤教員への残業手当判決の事例

月45時間以内の残業命令が可能に、管理職の指示・命令で仕事に

 給特法廃止で注意が必要なのは、一般労働者と同じようになれば、36協定も関連しますが、月45時間以内の残業命令が可能になり、従わない場合には労働者が不利になる事例がある点です。さらに、管理職の指示・命令で残業が命じられるため、どんな内容の残業化の報告、指示・命令されない業務は「命令違反」とされたり、どうしても授業のため、教育活動を充実させるために必要であっても、言われたことしかやってはならないという拘束が課される恐れがあることです。

 実際に、大阪府立学校で非常勤職員が残業手当支給を求めた裁判で勝訴、残業代支給が命じられた後、学校では、命じてないのに残業してはならない、時間がなければ、他の先生の授業案、プリントを使って授業するようにと、教育活動の内容まで厳しい制限が加えられることになった事例があります。

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