枚方教組結成20周年 祝辞
変革の時代の入り口に立つ私たち
枚方教組の結成20周年、おめでとうございます。この20年間、社会の進歩と逆流をめぐる攻防はし烈をきわめ、教育をめぐる明暗、矛盾も激化しました。
その典型は、2006年の教育基本法改悪をめぐる攻防です。この改悪が重しとなって、日本中の子どもと教職員にのしかかり、「学校の苦難」を増幅させています。
同時に、これに反対するたたかいが契機となって、改憲勢力と護憲勢力との力関係の逆転、自公政権の崩壊、「2大政党」づくりの座礁、教育費無償化・少人数学級・教職員定数改善へむかう流れの拡大、という大きな進歩を生み出しています。いま教職員と国民は、最悪の社会的条件のもとで、最高の価値あるたたかいに挑んでいると言えるかもしれません。
枚方教組の20年は、こうした社会と教育をめぐる中心課題を正面にすえて、教職員組合運動の本道を歩んできました。それは口で言うほどたやすいことではありません。政治闘争での一進一退、行政権力からの攻撃、教育現場の苦難の広がりという事態の中で、無意識のうちに脇道にそれてしまう傾向との不断の闘争なしにはありえなかったと思います。
また、枚方教組の20年間は、「再建単組」としての誇りをもって、「すべての教職員との共同を追求しつつ、多数派形成へ努力する」という複雑な課題に立ち向か
った歴史でもありました。
95年以降の「教職員定数増員を求める対府直接請願運動」、「評価・育成システム」撤回を求める「オール教育現場の共同」づくり、橋下知事の35人学級廃止に反対するPTA・校長会・日教組との「オール教育関係者の共同」などで、枚方教組は「すべての教職員との共同」の積極的な推進者としての役割を果たしました。同時に、この「共同」をとおして広がった教職員からの信頼を基礎に、多数派形成のための組織拡大にも全力をそそいできました。「競合しつつ、共同する」「共同しつつ、競り勝つ」という、二律背反のようにも映るこの課題への挑戦こそ、組合員としての誇りや意欲の発揮と、全教職員の利益の擁護とを統一させた、全教運動の根本精神を実践するものだったと思います。
いま私たちは、長年のたたかいが実を結ぶ時代、変革の時代の入り口に立っています。異常な競争と教職員管理の教育をただし、教育を支えるまともなルールをもつ社会をつくろうという旗を高くかかげ、すべての教育関係者と力を合わせ、子どもや父母、教職員の心に希望を広げる、新しい時代を切りひらきましょう。
枚方教組の20年の歩みは、そのことをわれわれに呼びかけていると思います。
辻 保夫(大教組中央執行副委員長)